拝啓〇〇様

ほかの誰でもない、誰かに向けて

日本一周に旅立つ前夜は、松尾芭蕉と竹原ピストル【日記】

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 怖いな

 

怖い。安定しておだやかな生活を捨てて、不安定な場所に突っ込んでいくの、やっぱり怖いな。嫌だな。

 

毎日寝る場所探すのだるいな。スマホのバッテリー切れちゃったらどうしよう。バイク壊れたら直せないな。クロスカブのギアチェンジ全然できない。今日もめちゃくちゃ煽られて辛かった。

 

あーあーあーあーあー

 

そりゃ多分始まったら楽しいんだと思う。最初の出発前も同じように怖かったけど、終わってみたらすごい楽しかったし。

 

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正直、この1ヶ月でもうバイク旅も慣れたと思ってたから、またこうやって旅立つのが怖くなるのは正直驚いてる。

 

それにたかだか1ヶ月バイク乗るだけだし、大したことじゃないのもわかってる。死ぬような話じゃないのは、頭ではちゃんと理解してる。スマホもコンビニもあるし。

 

でも、それでも、怖いなあ。泣きそうなくらい怖い。なんでだろうな。

 

多分だけど、何年経っても、こういうのは変わらないんだろうな。

 

あ、申し遅れました。こたけと申すものでございます。

 

このこの1ヶ月くらい、バイクで日本を半周してました。西側半周です。一時東京に戻っているのですが、また明日から残っているもう半周をしに行きます。また1ヶ月、家なし子です。

 

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45歳

 

さて、そんなわけで明日からまたバイクで旅にいくのですが、絶賛情緒不安定なうです。今メンヘラ選手権東日本がもよおされたとしたら、ベスト16はいけます。

 

でも、旅の前日の夜にソワソワザワザワしちゃうのって、僕だけじゃないですよね?旅だけじゃなく、新しい環境に行く時っていうか。

 

遠足、引越し、新学期、転職、結婚式...こういう時の前日って、なんだかこうソワソワしちゃって、何かしようとしても手につかない感じ、ありますよね。

 

こういう時、僕がいつも思い出す一節があります。松尾芭蕉っていうなんか変なジジイが書いたやつなんですけど。

 

そぞろ神のものにつきて心をくるはせ、道祖神の招きにあひて、取るもの手につかず。

 

はい。どうでしょう。『奥の細道』の最初のほうにある一節です。ざっくり意訳すると、

 

なんかもう取り憑かれたように心がざわつくんだけど。ウケ。もう、旅したすぎて何もできんわウチ。ワラ。

 

みたいな感じです。伝わったかな?伝わったね。

 

このJKみたいなノリで、松尾芭蕉は行脚で未だ訪れたことのない土地を巡る旅に出るわけです。それがかの有名な『奥の細道』になります。

 

何がすごいって、45歳らしいんですよ。この旅に出たのが。

 

今でこそ人生100年時代つって、ジジィもババァも年金なんかもらわねえで働けって怖い話になってますが、松尾芭蕉が生きた江戸時代の平均寿命は40-50歳です。(まあ赤ちゃんがすぐ死んじゃうだけで、平均余命はもっと長いと思いますが。)

 

だから現代に置き換えるならば、定年退職した後の老後って感じじゃないでしょうか。実際にこのころの松尾芭蕉は、現役を退いて隠居生活してました。

 

どうでしょう。老後の勢いだけでで150日、2400kmの歩き旅です。年金暮らしの皆様、どうでしょう。できそうですか?

 

正直、むちゃくちゃすごいと思いますよ。老後なんて、自分の知ってることを知ってる範囲でやって、平穏に生きるのが普通で、それが正義なんだと思います。

 

やっぱ、人間てのは歳をとると安定を求めちゃうというか、新しいことへのハードルが高くなる感じありますよね。新しいものが受け付けなくなる。

 

僕も年々、新しいことへの抵抗感を感じています。Youtubeは見てるけどTikTokは見てないし、外食はだいたいチェーン店に入っちゃうし。

 

そんな中、この松尾芭蕉とかいうジジィは45歳で自分の知らない世界に飛び込んでいくわけですよ。ほんますごい。

 

 

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しかも、今と違ってスマホも何もないですからね。コンビニも街灯もないし、警察もいなければネカフェもない。水どうするんだろうな。

 

そんな過酷な状況で150日旅する苦労は、文字通り想像を絶しますよね。考えられないもん。どんだけ地方行ってもコンビニあるし、現代社会。いいことなんだけどね。

 

確かに、安定はいいことなんですよ。美味しい水が飲めて、帰る家があって、スマホを見て、安いチェーン店で飯を食らう。これは確実に、幸せなんです。

 

けど、やっぱ人生どうしても新しい環境に飛び込まなきゃいけない時がくるんと思うんですよね。それは望む望まない関わらず。

 

 

 

そういう時に、俺は飛び込める人間でいたい。安定も不安定も、全部ひっくるめて俺の人生の肥やしにしてやりたい。

 

 

そんなわけで、旅の前日はいつも奥の細道の序文を読み返し、このジジィの精神性を思い返し、なんとか自分を鼓舞したりするわけです。こちらから読めますのでぜひ。短いので30秒で読めます。

 

【全訳】月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり | 奥の細道

 

 

あのころの君にあって今の君にないものなんてないさ

 

あとは、竹原ピストルというおっさんシンガーソングライターの歌もよく聞きます。

 

こいつのライブにくるのはだいたいおっさんなんですが、みんな拳をブルブル震わせながら男泣きします。いいおっさんが。

 

もちろん僕も、ボロボロに泣きます。

 

人生に悩みつつも進むことを頑張っている男子諸君、僕と一緒に彼の曲を聴きながら酒を飲み、気がすむまで泣きませんか。お誘い待ってます。

 

僕の大好きな2曲を紹介させてください。

 

あのころの君にあって、今の君にないものなんてないさ。

 

 


竹原ピストル / Forever Young(テレビ東京系ドラマ24「バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~」エンディングテーマ)

 

積み上げたもので勝負しても勝てねえよ 積み上げてきたものと勝負しなきゃ勝てねえよ

 


オールドルーキー  竹原ピストル

 

 以上になります。お互い、45歳の少年でいたいもんですね。以上こたけ。