タピオカと、シャンパンと、幸せについて。
「じゃあタピオカでいいじゃん。」これは諦めじゃない、祈りなんだよ。幸せはそうあってほしいという、祈り。
東京のコンサルタントが酒に酔って言っていた。「女子大生は純粋だから好きだ。夜景が見えるところに場所とって、シャンパン出してあげるだけで、喜んでくれるから。」
僕は女子大生じゃないしな、と思いながら安い焼酎を飲み干した。シャンパンは飲んだことない。焼酎は、安いから好きだ。
僕には、地元に幼馴染がいる。底抜けにバカだけど、最高にいいやつだ。実家は嫌いだけど、そいつが居るからたまに地元に帰る。
先日、奴が東京に来た。暇だったから案内した。
「タピオカが飲みたいの。東京でタピオカ飲むのが、夢だったの。」彼女はそういった。
だから、渋谷のタピオカ屋に連れて行った。名前は覚えてない。10分くらい並んだ。
僕はミルクティーにした。別になんでもよかったから、お店の一番おすすめみたいなやつだったと思う。多分500円とかだった。
そいつは抹茶にしていた。どうやらずっと前から最初は抹茶にすると決めていたらしい。
別にないと困るわけではないけど、あれば飲む。タピオカは、美味い。まあそれでも、特段好きなわけじゃないから、まあ、そんな感じだ。
一方の彼女は、「夢がかなった。一生忘れない。」とか言ってた。店の前で。写真撮りながら。
幸せの構成要素は、10分の待ち時間と、インスタ映えスポット、あと、幸せに敏感なゆとりある精神だった。最低な街渋谷の真中で。
じゃあ、タピオカの方がいいじゃん。今日も僕はそう祈る。