拝啓〇〇様

ほかの誰でもない、誰かに向けて

希望

希望とは、幸せと不幸の子供のようなものだ。

 

航海士は、晴天の続く航海に希望を見いだすことはない。

 

彼が希望を見いだすのは、嵐の中だ。どうか晴天がまた訪れますようにと。

 

不穏と平穏が繰り返す人生の中でこそ人は、希望を見出す。

 

すなわち、不幸の次には幸せがくるのではないかと祈るのだ。

 

それはちょうど、波が引いては返すように。生きては死ぬように。0と1が繰り返されるように。君が僕であるように。

 

 

最高を願えるのは、最悪を知っている人だけだ。

 

あなたの未来が希望に満ちていることとは、すなわち、あなたの今が不幸に満ちていることだ。

 

 

 

 

ただ、自分の力ではあり得ないことが起こること、身勝手な欲望が神様に叶えてもらえること、そういうことを否応もなく願ってしまう心のありよう。

 

それが、希望だ。

 

最悪の中に現れる、一縷の光。どうしようもなくて、身動きが取れない光。自分を溶かしてしまいそうな光だ。

 

あなたが希望にあふれていますように。あなたが不幸でありますように。

 

僕が希望にあふれていますように。僕が不幸でありますように。