拝啓〇〇様

ほかの誰でもない、誰かに向けて

  人生に疲れた東大生がソロキャンプしただけの話

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みなさんこんばんは。こたけです!先日の記事で書きましが、孤独な街東京で僕の精神はオワオワのオワになっていました。このままではマジでやばいよって思い、リフレッシュを兼ねてソロキャンプに出かけてみました。

 

最後にキャンプしたのはもう10年も前、しかも家族と。今回人生初のソロキャンに挑戦してきました。今回はその感想をまとめます。初心者キャンパーむけアドバイス記事、すぐに書きますね・・・!

 

 

 

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ソロキャンプに行こう。そう僕が思い立ったのは必然であったのかもしれない。無機質な消費を繰り返し、自分の精神をすり減らして生きる日々。大学生というモラトリアムの時間。過去を振り返っても、未来を見据えても、いまの自分はそのどちらからも切り離されて浮いているような感覚。

 

僕には休息が必要だった。僕の悩みの中心にある社会生活から隔絶された休息が。そんな時Youtubeである動画に出会った。着の身着のまま、ジャングルなどの辺境の地に行って自力で一週間生き延びるという番組だった。非常に面白かった。そしてこんなサバイバル生活のなかに、僕はいまの自分にないものがあるのではないかと感じた。

 

流石にそこまで過酷なサバイバルをやったら普通に死ぬので、それに近い状況を生み出せないかと考えソロキャンプをすることにした。キャンプであれば擬似的なサバイバルを体験できるだろうし、何より1人で行けば自分の内面的な部分を考えることに集中できると思ったからだ。しかしキャンプに行ための道具を何一つ持っていなかった。僕は早速アマゾンでキャンプ道具一式購入した。

 

 

 

 

 

 

総額約30000円。おかしい。消費生活から逃れるためにキャンプに行くはずがエンゲル係数バカ高い消費をしてしまった。おかげで来月はいつもよりバイトを増やさないといけない。出だしから目論見が狂ってしまったが、僕はめげない。どうやってでもキャンプに行くんだ。

 

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10月7日午前7時、眠い目をこすりながら起床。こんなに早く起きたのはいつぶりだろうか。狂いまくっている自律神経に鞭を打ち、100%充電されたスマートホンを開いた。乗り換えアプリを起動し、今日の目的地までの行き方を調べる。

 

 

奥多摩駅。それが今日の目的地だった。最寄り駅からの所要時間は約90分と表示されている。休日には奥多摩までの特別快速が出ていて、都心から一本で行けるらしい。東京は果てしなく便利だ。

 

 

準備はーといっても、リュックに収まる必要最低限のものしかないがー前日のうちに終えていた。狭いワンルームの部屋に暫しの別れを告げ、僕は重い荷物を背負い駅へと歩き出した。『今日はいつもと違う1日になるぞ。』遠足に行く小学生のような面持ちで、僕は足をはやめた。

 

 

奥多摩に向かう快速は、僕と同じような荷物を持った人々で非常に混んでいた。満員電車に少し憂鬱な気分になりながら、目を伏せるようスマホをいじって車内をやり過ごした。

 

 

奥多摩駅には予定通りの時刻についた。秋晴れの空がとても気持ちよかった。キャンプ場は事前にネットで検索していた。奥多摩の氷川キャンプ場である。駅から徒歩5分という立地で、周りにはスーパーやコンビニ、さらには温泉もあり、初心者にはうってつけという場所だ。

 

奥多摩はとても綺麗なところだった。快晴のもとで木々が映えていた。キャンプ場までの道のりは、僕の期待をより一層高めてくれた。

 

 

歩いてぴったり5分、午前10時氷川キャンプ場に到着。ワクワクしながら受付へ行くと

 

 

『本日のキャンプの受付は終了しました。』

 

 

うっそだろおい。みんなキャンプ好きすぎだろ。三連休を舐めていた。係りの人に聞くと、8時半からの受付で9時過ぎにはもう埋まってしまったらしい。恐るべし。東京の端にまできてなお人の多さに悩まされることになるとは...

 

が、この時はまだそんなに焦っていなかった。なぜなら僕は事前にこの氷川キャンプ場と5駅隣の川井キャンプ場を調べていて、氷川キャンプ場には入れなかったが川井には入れた、というブログを多く見かけていたからだ。そんなわけで川井キャンプ場に電話をした。

 

 

僕「すみません、今日今からキャンプ場の利用したいんですが。」

おじちゃん「あー申し訳ないけど今日はもう厳しいですね。ごめんなさいね。」

 

 

ここで初めてめちゃめちゃ焦った。まじか。重い荷物を持って1時間半かけて来ていたからには、このままスゴスゴと変えるわけにはいかない。しかし頼みの綱の川井キャンプ場は絶たれ、テントをはる場所がない。僕はその場で『奥多摩 キャンプ場』でグーグル検索した。一件だけ、電車の僕でも迎えそうなものがあった。

 

 

『鳩ノ巣ガーデンキャンプ場』、調べている時には一切見ない名前だったが、その時頼れるのはそこだけだった。藁にもすがる思いで鳩ノ巣キャンプ場に電話をかけた。

 

 

僕「すみません、今日今からキャンプ場の利用できますか?」

おじいちゃん「お兄ちゃん今どこ?奥多摩?何人?1人?じゃあ遅くても3時にはきてよ〜〜」ガチャ

 

 

一瞬のことで理解が追いつかなかったが、とりあえずキャンプができそうだ。めちゃめちゃ癖の強いおじいちゃんが電話に出た気がするが関係ない。その日の寝る場所が確保できることが、これほど安堵をもたらすことだとは思いもしていなかった。しかし同時に少し焦った。このどこも激混みの中15時まで大丈夫ってどういうこと??どんだけやばいところなの?

 

しかしうだうだ言ってられない。キャンプせずに帰るという選択肢はもはや無く、進むしかないのだ。鳩ノ巣駅周辺には買い出しできるスーパーがないことを確認した僕は奥多摩のスーパーで食材等を買い、30分に一本の電車を1人待った。

 

 

日本の電車は非常に優秀だ。たとえ人がいなくても時刻通りに、遅くなりもせず早まりもせず、機械的にやって来て出発する。どれだけ僕が望もうとも、電車が早く来ることは決してないのだ。ベンチに座りながらポテチを食べて時間を潰した。ポテチはうまかった。

 

鳩ノ巣駅へは奥多摩駅から2駅、約5分ほどで到着した。鳩ノ巣駅は無人駅で、奥多摩駅よりさらに田舎であった。ちなみに鳩ノ巣という名前のわりに鳩は全くいなかった。

 

 

地図と公式サイトで確認すると、どうやら鳩ノ巣ガーデンキャンプ場は駅から徒歩30分くらいかかるようだった。キャンプ道具一式を持って30分歩くのは大変そうだが、いかないわけにはいかなかった。公式サイトと地図アプリの情報を確認しつつ、僕は早足で歩き出した。太陽はもう空のてっぺんに近いところにきていた。

 

キャンプ場への道はほとんど一本道であったから、迷いそうな気配はなかった。

 

 

橋を渡り

 

 

民家の間を抜けて行った。ここまでの道はほとんど平坦で、僕は予想より早く着くかもしれないと思った。しかしこれは甘い考えであったことがすぐわかった。この民家の道を抜けてすぐ、道はずっと登り坂になった。しかもかなりキツめのやつだ。どうやらこの辺は登山(ハイキングコース?)としても有名らしい。道ですれ違う人の服装のガチ度がどんどん上がっていくのを見ながら、こんなことなら気取ってラコステのスニーカーなんか履いて来るんじゃなかったと後悔した。

 

道は山道へと続いていく。

 

 

 

登って

 

 

 

 

登って

 

 

 

 

あらいい景色〜〜

 

 

 

 

また登って、ひたすら登っていくと開けた場所についた。ついに到着か...

 

 

 

 

まだあるんかい!と正直思った。ここまでで25分は経過していたと思う。しかしここからは下りメインだったので、幾分か楽だった。楽とかかいてるけど普通にゼエゼエ息してたし太腿もめっちゃ痛かった。

 

下ること約10分、山の中に突然開けた場所が現れた。12時、僕はどうにか鳩ノ巣キャンプ場へ到着したのだった。太陽は燦々と僕を照らしていた。

 

 

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鳩ノ巣キャンプ場はとても静かな場所だった。周りは一切森で、川の流はその場所で一番大きな音を発していた。非常にアクセスが悪くかつ広い敷地でもないためか、BBQ場にありがちな騒がしさは一切なかった。僕を含め多くの人がその静かさとゆっくり流れる時間を楽しみに来るような場所であった。キャンプ場には先客が何名かいた。結局僕が泊まった日は計8組程度がいた。どうやら多くの人が僕と同じように氷川・川井キャンプ場に入れずにここにきていたらしい。

 

ここで僕はあることに気がついた。なんとスマホが圏外なのだ。このご時世において東京にいながらスマホが通じないことなどあることが信じられなかった。僕は電波に囲まれ電波とともに生きてた人間だったから、それはまさに空気のように僕の生活を満たして当然のものであったから。スマホで何も調べることができない状況で初めてのキャンプを乗り切れるかとても不安になった。

 

だがしかし、電波が通じないのは好都合でもあった。普段僕を24時間拘束し、すぐに返事することを求めて来る煩わしいラインやメッセンジャー、チャットワークなどが僕のキャンプを邪魔する可能性が絶たれたからだ。向こう24時間連絡を返事をしない正当な理由がえられたことは素直に嬉しかった。

 

結局断続的にだが微弱な電波が入ることもあったため、どうにかショートメッセンジャー等で必要な人には無事の連絡を送ることができた。ただ連続的な連絡は行えなかった。当然ラインやユーチューブ等は一切機能しなかった。

 

 

 

 

鳩ノ巣キャンプ場で、僕は本当の意味で1人になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空には虹がかかっていた。

 

 

 

 

そのあと、僕は癖の強いおじいちゃんと少し会話を交わし(この辺は別記事で書きます)早速テントを張ることにした。早起きと疲労から僕は今すぐにでもテントで寝たかった。

しかし初めてのテント張りはかなり苦労した。立て方は動画で予習して来たつもりだが、理論の実践はそれを語るよりはるかに難しかった。結局20分以上かけてどうにかテントを立てることができた。動画では7分程度で出来ていたと言えば僕がどれだけ情けない結果に終わったかわかると思う。

 

 

それでもなんとかテントを立てた。たかだかテントだが、とても達成感があった。これからこいつが僕の城だ。キッチンもエアコンもついていないが、誰にも邪魔されることのない完璧な城であった。

 

 

そこから僕は遅めの昼食を取ることにした。朝からポテチ以外何も食べていなかったのではらぺこだった。バーナーをつけ、コッヘルを準備し、買っておいた袋麺とウィンナーともやしを用意した。

 

 

そして忘れてはいけないのがお酒だ。今日はもう誰に会うわけでも、何かするわけでもない。昼間から、自然の中で酒を飲む。贅沢だった。

 

袋麺の準備ができた。コッヘルの蓋を取り少しかき混ぜようとしたその時。

 

 

 

 

 

 

 

 

これが世界の選択か。あまりにも悲しい。入れたもやしとウィンナーの量が明らかにコッヘルのキャパを超えていることには気づいていたが、まさかこんな結果になるとは。袋麺ひとつ満足に仕上げられない自分がとても情けなかった。あと普通に腹減ってたから普通に萎えた。

 

 

 とりあえず泣きながらコッヘルに残った汁なし麺もやしウィンナーを食べ、ビールを流し込んだ。ここでは誰かに愚痴を言うことも、写真をTwitterにあげて『ラーメンこぼしたわwwww』などど投稿し反応を集めて悲しみを自己承認欲求の波に放り投げてしまうこともできなかった。ただ腹の奥にしまいこみ、受け流すしかない。ビールは変わらずうまかった。

 

 

それでも腹が減ったのでウィンナーの残りを食べた。食べ終えると僕はテントに入り眠ることにした。飯を食い昼寝する。この上ない贅沢だ。僕は唯一聞こえて来る川の音に耳を澄ませながら、すぐに眠った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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目を覚ますと17時ごろだった。日は傾き出していて、キャンプ場には僕が来たときにはいなかった家族連れやカップルが増えていた。

 

 

目を覚ましてすぐビールを飲みタバコを吸った。断言するが僕は普段一切タバコを吸わない。人生で吸ったのは、夜の海に友達と行った時と彼女に振られた時の2回だけだ。ただ、このロケーションではタバコと酒が不可欠だと思われたから、とりあえず一番害のなさそうなものを買っておいた。タバコは苦かったが、むせる事はなく僕の胸を満たした。人生3回目のタバコは最高だった。

 

 

 そのあとは早めの夕食にすることにした。先ほどの失敗を繰り返さぬよう慎重に作った。簡単な焼うどんだったが、ロケーションのおかげか空腹のおかげか美味しかった。

 

18時を過ぎるとあたりはかなり暗くなって来た。キャンプ場とその周囲を含め、ランタンと焚き火だけが明かりだった。キャンプ場の外に出たら100mも歩けないだろう。夜はキャンプ場の静けさをより一層厳かなものにした。僕は2杯目の焼うどんを作り始めた。

 

 

ビールを4本しか買ってこなかったのは失敗だったと思った。キャンプ場の夜は長く、スマホもない僕にとっては食べて飲むことだけが楽しみだったからだ。このモツ煮はモツがあんまり入ってなかったから悲しかった。

 

 

夕食後はまたテントに入って少し寝て、1人の時間を過ごした。そのあと、今回のキャンプの目的の1つだった、星空の写真をとることにした。ただあいにく夕方から空は曇り始めてしまっていて、成功は難しそうだった。それでも僕は三脚とカメラを準備し、雲が開けるのを待った。

 

 

結局、残念ながら僕が起きている間に快晴になることはなかった。だけど時々部分的に雲がなくなるときがあり、それを狙ってどうにか星空の写真を撮れた。いい写真ではないが、まあこんなものだろう。撮れたのでとりあえず満足だった。

 

 

 

23時頃になると、焚き火を囲んで団欒を楽しんでいた家族組やカップル組も明かりを消して眠りにつき出し、キャンプ場に本当の夜が訪れた。空が曇っていたため一切明かりはなく、文字通りあたりは真っ暗だった。

 

他の人たちと同じように僕もテントに入ることにした。ランタンを消したが、昼間寝てしまったせいかすぐには寝つけなかった。こういう時にスマホを弄れないのは本当にきつい。

 

暗闇の中で川の音だけがする。三途の川とはよくいったものだが、真っ暗の中での川は本当に別の世界から流れて来ているかのようだった。

 

そのとき、僕は世界に1人だった。電波は僕を助けてくれなかった。普段の自分の生活が、いかにモノとヒトで溢れているかを痛感させられた。煩わしく、ストレスに満ちた日々だ。しかし、今はそれが恋しかった。当たり前だったことが無くなることがここまで辛いとは思わなかった。このまま1人で生きるのは嫌だった。

 

次ここに来るときは、大切な人と来よう。そんな風に考えているうちに、僕の意識は川の音の中に沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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6:00、起床。キャンプ場の朝は早い。霧がたち込めるキャンプ場は、あの世とこの世の中間みたいだった。今日、僕は帰るのだ。非日常が終わり、日常が始まる。

 

日常に戻りたい、そう思うことができた。普段の生活を肯定も否定もしない。ただ、それが戻りたいと思うに値するものだと知れただけで満足だ。僕は、足るを知ることができた。起き上がり、テントの片付けを始めた。

 

始まりは大変だが終わるのは一瞬で、片付けはあっという間に終わった。

 

 

来た時よりちょっと軽くなったリュックを背負って、僕は鳩ノ巣キャンプ場を後にした。思えばアクシデントで来ることになった鳩ノ巣キャンプ場だったが、結果的にはここに来られて良かったと思う。電波が届かない生活をもたらしてくれた。

 

 

帰りは下り坂ばかりだったから、行きよりよっぽど早く進むことができた。そして歩いて行くと

 

 

 

電波が通じた。確認できなかった時間のうちに、ラインやチャットワークが少し溜まっていた。普段なら間違いなくストレスの原因だが、今は心地よかった。返信できるものから順を追って返信しよう。

 

こうして、僕の一泊二日のソロキャンプは幕を閉じた。帰りの電車はほとんど眠ってしまって、気づいたら最寄り駅についてた。

 

家についた。電気のスイッチをつけると電球がつく。蛇口をひねれば暖かいシャワーが浴びれる。クーラーもある。こんなこと、当たり前だ。しかし当たり前のことに感謝していけない道理はない。僕は満足感に満たされて、自分のベッドで眠った。このベッドはこんなに眠り心地がよかっただろうか。

 

 

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こんな感じでした。今回はいつもと違った感じで書いてみたんですがどうでしょう?!コメントで感想とかぜひ!!そして最後に伝えたい。。。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰って来て食べたすき家のまぜのっけご飯うま〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

以上です。ありがとうございました。

 

【10/12追記】

鳩ノ巣ガーデンキャンプ場についてのレビュー記事書きました!詳しいアクセスなども書いたのでぜひご覧ください。

 

 

daigakuseino.hatenadiary.jp